第5回日本脳神経内科血管治療研究会学術集会
当番世話人 中垣 英明
(福岡市民病院 脳神経内科)
第5回日本脳神経内科血管治療研究会学術集会
当番世話人 中垣 英明
(福岡市民病院 脳神経内科)
このたび、第5回日本脳神経内科血管治療研究会学術集会(JSVIN2024)を開催するにあたり、ご挨拶申し上げます。
日本脳神経内科血管治療研究会(Japan Society of Vascular and Interventional Neurology:JSVIN)は、内科的視点に基づいて、脳血管障害に対する血管内治療及び関連する診断・治療に関する基礎的・臨床的知見及び最新情報を会員と共有することにより診療の発展に寄与することを目的として、2018年11月に発足しました。
脳梗塞治療のおける2000年代はtPA静注療法が可能になり全国で行うことができる治療になり、そしてその限界がわかって血栓回収療法の機運が高まった時代でした。
本会の前身である研究会Fighting Vascular Event in Kobeは2009年に発足しました。国内で初めて利用可能になった血栓回収機器Merciリトリーバーが2010年に上梓されたのでまさに時代が変革するその前夜に研究会が産声を上げたことになります。私達が最初に手にしたデバイスは決して再開通率の高いものではなく、tPA静注療法との兼ね合い、タイミングもはっきりしておらず、手探りの中の治療でした。それでも以前は発症直後に来院した内頚動脈急性閉塞の患者さんが目の前で何もできずに広範脳梗塞になり、脳ヘルニアになっていく様子をただ、ベッドサイドで寄り添うことしかなかったのです。デバイスを手にして興奮する心を抑えつつ、治療にあたった日々が昨日のことように思い出されます。研究会ではこの新しく始まった治療について熱い議論を交わしました。
それから10年以上の月日が流れ、デバイスは進化し、エビデンスは蓄積していき、現在ではこの治療はガイドライン推奨度Aの行うべき治療となりました。そして今も進化し続けています。
今回の学術集会のテーマは「Take the Next Step Forward」としました。発症6時間以内、ある程度限局した虚血を有する患者さんを対象に明確な有効性が明らかになった機械的血栓回収療法は、さらに時間の経過した例、広範梗塞に対する有効性が報告され、確立されつつあります。この治療をさらなる次の段階に歩みを進めるべく、8月の暑い福岡で熱い議論を行っていただき、また全国の同じ思いを抱いた仲間たちの懇親の場、情報収集の場にしていただきたいと思います。
処暑の福岡で皆様のご参加、ご発表を心よりお待ちいたしています。
2023年11月吉日